謹賀新年:ゲイリー・バートン&スティーブ・スワロウ『ホテル・ヘロー』
明けましておめでとうございます。今年もなるたけ奇特な「音」を拾いつつ、コツコツやっていく所存ですので、拙ブログをよろしくお願いいたします。
1月1日はテレビ観ながら寝ておりました。DISCASで借りた『トロイ』なんかを観つつ、でも眠くてしょうがなかった。
本日は7時に起きて瀧道へ。箕面は大瀧までの中ほどに瀧安寺というお寺(役行者創建とのこと)がありますが、今年は飲酒運転のからみでお神酒を出さないらしいのでキャンセルし、いつも通り滝つぼ上の百年橋まで個人的な初詣、です。
- アーティスト: Gary Burton,Steve Swallow
- 出版社/メーカー: Ecm Import
- 発売日: 2005/06/07
- メディア: CD
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いかにもECMなジャケットのモノクロ写真の、どこかマグリットの絵のような構図の対岸に浮かぶ『Hotel Hello』とは架空のホテルなんでしょうが、本作は1975年作。イーグルスの『ホテル・カリフォルニア』は1976年作。
もちろん無関係なんですが、同じホテル幻想のアナロジーを感じてしまったりするのは、後追いリスナーの特権ということで。1970年代、ミュージシャンは「当事者」ではなくて「宿泊客」でいたかったんでしょうか。
VibとBass、ということでシンプルな音作りを連想していましたが、バートンはオルガン、マリンバ、スワロウはピアノ、と意外に彩り豊かなサウンドです。しかし、そこはECM。丹精でスタイリッシュなところは揺るいでいません。個人的にVibという丸っこい音色の楽器を使ったジャズ、というものに殆ど興味が湧かなかったのですが、それは自分の中の「ジャズ」への嗜好が、エリック・ドルフィーの熱い内臓のようなソロとかオーネット・コールマンのカルテットあるいは「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」、あるいは「ラジオのように」でのアート・アンサンブル・オブ・シカゴなどのどこかフリーキーな響きの「うた」に限られたものだったからなんですね。
この音楽はもちろん「ジャズ」という感じではないです。いくらかニューエイジっぽい神妙なサウンドかもしれない。でも学者さんのような風貌そのままのバートンの清潔な幻想性を感じさせる知的なVibのメロディーに、スワロウのBassがからみながら、やさしく空間をうねらせて幅をもたせていく、この感じは、耳を通して心のチューニングを穏やかな調子に合わせてくれます。