みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

ウィルキンソン・ブラザース『大陸から来た人々』

nomrakenta2006-11-12

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もうなくなってしまったけども、心斎橋アメリカ村タワーレコードのNew Music関連のフロアにはとてもお世話になった。現代音楽やアヴァンギャルド系以外の音楽もとにかく貪欲に品揃えで聴いたことのない音楽がいつも試聴機にかかっていた。よく2、3時間は平気でねばっていたもんです。これもそんな時にビビッときた音楽です。

はじめにきよし」のピアノ、アコーディオン、ピアニカの新谷キヨシさんと現ふちがみとふなとコントラバス奏者・船戸博史さん、それからふちがみとふなとのお二人も参加しているユニークなロックバンド「ビジリバ」(現在、休止中?)からギターの古太郎さん、の3人で奏でれらる、小さい筈なのに、遥か彼方の地平線が見えてしまう架空民族音楽風味のチェンバー・ミュージックです。もう10数年来活動していらしゃる息の長いユニットのようで、本作は2001年作のセカンド・アルバムのようですが、僕が知っているのは本作のみです。
とりあえず1曲目の「大草原へピクニック、そして冒険」からいきなり、「ここはいつ?いまはどこ?」みたいな大らかなメロディーと知的なアンサンブルに打ち抜かれてしまう。
「ある月夜、湖に漕ぎいで意志を放つ」、「親が死んでも踊る道化師」、「ふたたび帰ってきた猫」、「幻の湖をもとめて」、そして「大陸から来た人々」など、存在しない筈の郷愁まで呼び起こしてしまう曲名はもとより、諧謔もリリシズムもバランスよく聴かせてくれる音楽の豊かさは背帯の惹句が見事に語っています。
風景の見える音楽 一日中聴いても邪魔にならず、しかも、決して無視することのできない音楽。
とてもコアなセンスで分類不可能なのに、万人にお勧めできてしまえそうな音楽、というのがごく稀にありますが、本盤はそんな中の忘れられない一枚です。