みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

これは癒しではない:Elizabeth Mitchell 『You Are My Little Bird』

元アイダのElizabeth Mitchellによる子供のための音楽のカバー集。スミソニアン・フォークウェイズからのリリース。
「You Are My Sunshine」を聴き逃していましたので、かなり新鮮な思いで接することができました。30分くらいで、長さでいえばミニアルバムといっていいものですが内容の充実ぶりはそこらの70分フルアルバムには劣らないかと。気に入ったものだけ一曲ずつDLできる時代だからこそアルバム一枚に作品としてまとめるという行為について考えさせてくれる出来です。
童謡のほか、Woody Guthrie, Bob Marley, The Velvet Underground, Vashti Bunyan, Gillian Welchなどアーティストからも選曲。日本のぞうさんがうれしい。
子供のための音楽だけれども、単に「おとな」が「こどもの世界」をノスタルジアや異国情緒の対象にしているわけではない、同時に「こども」でも「おとな」でもあるようなひらかれた佇まいを感じます。この音楽が奏でられる場所は、小さくささやかなものかもしれませんが、しなやかでパワフル。ふてぶてしさすら感じます(もちろんよい意味で)。
全編アコースティックな中、唯一エレキギターで演奏されるヴェルヴェッツの『What Goes On』が個人的に究極のツボに。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカバーでバンドを始めるのって私は完璧なことだと思うの」(ライナーのコメントより)

Velvet Underground

Velvet Underground

ジョン・ケイルが抜けてサウンドの暴力性が潮が引くように収まり、ルー・リードソング・ライティングが全開になった三作目。そして、初のトータルストーリーアルバム。少ないコードと文学的な歌詞という形式は地味なくせに滋味があり、青臭いくせにニヒルに完結する内省的なロマンティシズムは思春期に嵌るとあとが大変です。もしかしたらルー・リードのデビューアルバムといえるかもしれない本盤が一番好きという人も多いのでは。

What goes on here in your mind
I think that I am falling down
What goes on here in your mind
I think that I am upside down
Lady,be good and do what you should
You know it'll work alright
Lady, be good and do what you should
You know it'll be alright

"What Goes On"by Lou Reed

歌詞は、混乱した(あるいは落ち込んでいる)女の子と彼女に語りかける男というふたりの人物のあいだの会話の形をとっていて、ある種のストーリー・ヒーリングになっています。
そういえば、こちらのオルタナカントリーバンドも『What Goes On』のカバーを。

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