シカラムータ@京都 磔磔
亡命先でふと外に出ると夜の町はカーニバル遠くから吹く風にちぎられてふと気になるメロディが聴こえてくるなんだかよくわからないけれど懐かしいメロディーが断片的に聴こえてくるそのやわらかい音の雲の方へ祭気分で浮き立った人の流れを掻き分け近づいてみるにつれ半端な高さのやぐらが組まれたその上で見たこともない風体の楽団が演奏しているのだとわかった祭に来た人々は気の利いた余興として楽しんでいるけれどもはじめはやさしく次第に分厚くなっていく音の重なりの中で目の前のクラリネット吹きがむせび泣いたりおどけてみせたりして歌いあげてみせるのはおいらだけは忘れもしない仲間と歌ったあの曲だおいらなんだか国に置いてきたはずの涙が出てくるような気がしてもう刑務所にぶち込まれたって構うもんか国に帰ると決めたのさ。
と、そんな感じの、ヂンタ、チンドン、クレヅマー、バルカンブラス、フリージャズ、プログレ、ハードコア化した大道演歌、その他名も知らない音楽・・・が目の前でぐるぐる回転する、そんな夜でした(ってどんなやねん)。
ドラムを叩いているのはルインズの吉田達也さん!「あぶらだこ(木盤)」のあの突進する蛸のような、日本のインディーロックを切り開いてきたバキバキ変拍子ドラムをしかもシカラムータで生で聴けるとは・・・と一人興奮(←この辺りどうしようもなくマニア)。
さて、「あの曲」っていうのは、この大熊ワタル(クラリネット等)率いる宇宙の盆踊り楽団(ライブ盤の帯の惹句ママ)の定番曲『不屈の民』と『アイラー・メドレー』のことです。
大熊氏「ある種、おまじないというか、ずっと演奏したいメロディーです。これからもずっと演奏していくと思います」(本日のMCで『不屈の民』について)
言うまでもないかもですが、『不屈の民』(The People United Will Never Be Defeated)は、1973年大衆を煽動したとしてチリ軍部に虐殺された歌手ビクトル・ハラによるやるせなくもロマンティックなメロディーがどうしようもなく熱くしてくれる名曲。詳しくは→こちらへ
『アイラー・メドレー』は、アルバート・アイラーの名曲『ゴースト』など名曲をフリージャズのヘゲモニーからチンドンの闇鍋へ突き落として魔界転生させたものですが、両曲とも音楽・精神性ともに同調し増幅し切ったカヴァーであるがゆえに、シカラムータを代表する曲になっています。
この2曲はお約束につきお酒も入ってか調子の乗ってきた後半第2部で演奏されましたが、前半の『スカラベ(フンコロガシ)マーチ』『山並み』なんかも良かった。
この夜で日本ツアーは終わり、台湾台北のフェスに参加なさると。盛り上がりそうやなあ。
大熊氏「是非、みなさん一緒に台湾にいきましょう」
客「行けるかー!」どっ(笑)

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『不屈の民』をクラシック〜現代音楽のジャンルで有名にしたのは、電子音楽やら集団即興やらジョン・ケージに喧嘩を売ったり等色々していた前衛音楽集団MEV出身のフレデリック・ジェフスキ。バッハのゴルトベルクよろしく原曲+36のヴァリエーションからなる大変奏曲集にしちゃいました。

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