みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

読了(遅読?)

吉里吉里人」(解説によれば、吉里吉里という名称も遠野物語からとのこと)を上巻で断念している僕には井上ひさしに関しては何もいえないが、これは、単なる「遠野物語」の再話ではない。「聞き語り」という話法を、遠野物語をダシに再構築しているのだ。
その擬(偽、アルイハ戯?)回顧調の語り口には無駄が無く、情報は整理されている。ラストはまあ想定の範囲内だが、いつ読まれても価値が変わらない読み手を限定しない「おはなし」のお手本のようだ。