その乱調を突き抜けて:USメイプル『トーカー』
隊長の次は、「キャプテン・ビーフハートとディーヴォの私生児」とまで言われたシカゴ出身のフリーキーなロックバンド「USメイプル」のアルバムを。
このアルバムまでに確かスキンクラフトなどから4枚くらいアルバムがあったんではないかと思うし、1枚目などにはジム・オルークも絡んでいたような気もするが、このアルバムは、はまり過ぎなドラッグシティーから、元スワンズのマイケル・ジラのプロデュースで制作され、やはり波長がどんはまりだったのか、地下に遺棄された暗渠のような重く暗く苦しげな中に表現への衝動が跳ね回っているような、そんな出来過ぎな音楽になってしまった彼らの代表作だと思う。
暗いか明るいかは二次的な問題であり、バンドにとって重要なことは唯一つ、どれだけ自分達の衝動に向き合ってうねりをサウンドとして吐き出せるか、であることを思い知らせてくれた。その意味でしか、隊長の後に繋がることなどできはしないし、まるでノー・ニューヨークなど無かったかのような彼らの音楽を聴いていると、ここ数年雨後のタケノコのように出現したルインズやボアダムズのコピーバンドのような音には全く食指が動かない。ただ、毎日は聴けません。
そういや最近リリースがない。解散したのか・・・。
ジャケット画像、真っ黒だが、本当はコンクリートの壁にバンド名、タイトルが殴り書きされているようなイメージがちゃんとある。タイトルの「トーカー」って「お喋り」って意味だろうか?だとしたらほとんどニヒリズムだ。