みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

ふたりの草野心平と即興演奏家が与えられたとせよ:バリー・ガイとマツ・グスタフソン『Frogging』

朝、瀧道を歩いていると空気がすがすがしい。視界の隅には、気の早い落ち葉も入ってくる。西の川西の方を見ると、空がいくぶん黒い。台風、やってくるのか。
ブログのタイトル、飽きたので変えました。

マッツ・グスタフソン。この人はなんとケッタイなサックス吹きなんであろうか。
演奏と言うよりもひっそりした吐息だったり、爆裂する吃音だったり、ヒグマの屁みたいだったり、おんぼろギターの爪弾きのようであったり・・・そのひねり出される異音の数々は、しかし、新鮮な驚きがいつもある。この人は自分だけの「声」を探し続けているんだろうなあ・・・と。

バリー・ガイは、ヨーロッパフリー即興音楽シーンで長らく重鎮として君臨しているベース奏者で、近年は現代音楽っぽい(未聴)作品を出していたと思う。こんなことを言う人です。
「ベースは知っての通りでかい楽器だ。でも俺はそれをできるだけ不可視にしようとしているんだ。ベースはとてつもない木のかたまりであり、でかい反響を産むボックスでもあるし、そこから取り出すことができるものは無限にあるんだ。」(本盤ライナーより引用)

本作は1997年リリースの二人のデュオ・インプロを収めたもの。
いくぶんゆったりとした構えのバリー・ガイに、テナー、バリトンサックスにフルートなどなど様々な楽器で工夫を凝らしてマツ・グスタフソンが絡んでいます。
「Frogging」とは「蛙ごっこ」というよりも、さらに深く「蛙に成り切ろう」という異形の情熱すら感じる。
音も、土の耳をくっつけて、冬眠中の蛙王国、あるいは芥川竜之介の「河童」王国のドンちゃん騒ぎでも聴いているよな、と書いても失礼にはあたるまい。
草野心平の蛙詩集を読みながらだと、さらにディープ。

蛙のうた―草野心平詩集 (美しい日本の詩歌)

蛙のうた―草野心平詩集 (美しい日本の詩歌)