みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

ジャンニ・ロダーリ 「ファンタジーの文法―物語創作法入門 (ちくま文庫)」

ノヴァーリスに触発され「ファンタジー学」確立を目指したイタリア人作家。70年代に出版されたこともあり、なにやらアウトノミアな(無関係?→でもレジスタンスの運動家だったみたいだけど。ネグリとは別か)発想法は、かなり読み応えあり。
冒頭の「石<sasso>」という単語からの連想していく過程なんて、なんだか広告代理店の企画書作成方法みたい。

ファンタジーの文法―物語創作法入門 (ちくま文庫)

ファンタジーの文法―物語創作法入門 (ちくま文庫)

<ことばの使い方のすべてをすべての人に>、これこそうつくしい民主的ひびきをもったすばらしいモットーだとわたしは思う。誰もが芸術家であるからではなく、誰もが奴隷ではないからである。

このあたり運動家っぽい(ほんまかいな)。
また別の例では、単語のスペルから、無関係な単語を導き出して、その単語を関連づけることで物語を作ってしまう。本文中の例では↓

 S=Settecento <七百人の>
 A=avvocati <弁護士が>
 S=suonavano <吹き鳴らした>
 S=settcento <七百の>
 O=ocarine <オカリーナを>

で、<七百人の弁護士が七百のオカリーナを吹き鳴らした>という物語の要素ができる。

オカリーナを吹き鳴らしている七百人の弁護士の行列、それは捨て去ってよいイメージではない。

(笑)こんな感じで物語の断片を積み重ねるというのだが、それで本当にちゃんと物語として筋が通ったものになるのか眉唾だが、実際の作家が行っているので思わずなるほどとなってしまっておもしろい。
似ていると思ったのがこの本の中で紹介されている「マンダラート」。

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

どこがって、言葉を四方八方に撒き散らして(自分の主観からなるべく離れて偶然を拾えるように)して、編集する立場に自分を早く置くというところなんですが・・・。

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