みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

対立・不和に満ちたミュージック・コンクレートの歴史を知るための必携の本かと。あとフェラーリ自身のテキストに関しても「自伝」形式を裏切りつつも誠実さも示したフランス的な諧謔がいいです。
フェラーリ自身の現代音楽に対するコメントの数々が、どれも教条主義権威主義から距離を置きつつ率直で含蓄があり読む価値あります。

抽象的アイデアと現実との間に絶えざる均衡が必要なのです。
抽象的なものと具体的なものとの間の、幻覚(ファンタズム)とその現実との関係の間の均衡を維持することに、私はいつも注意を払っているのです。
                  --------------同書p.232からの引用