みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

クルト・シュヴィッタース『What a beauty; Die Ursonate; und andrere lautgedichte』

やはりWERGOより、ダメ押しのように2004年にリリースされたシュヴィッタースの作品集がこれだ。
パフォーマンスは、60年代生まれの3人のヴォーカル・アンサンブル「Die Schwindlinge」。ライナーによると、ヴォイス・トレーニングや演劇、実験音楽のプロジェクトに携ってきてた人達のようで、シュヴィッタースだけでなく、1920〜40年代のベルリンの演劇の歌などもレパートリーにあるようだ。
本CDには、「原音ソナタ」だけでなく、「What a b what a b what a beauty」、「アンナ・ブリューメ」などの音声詩作品も含めた殆ど全集といえるつくり。「「What a b what a b what a beauty」」などが特にそうだが、意味を意図的に置き去りにしてコトバのリズミックな部分を強調していくやり方が伺える。全てシュヴィッタース自身がステージで聴衆に披露していた通り、ルサンチマンのバイアスが微塵もない子供の遊びのように無邪気な「実験」になっている。男声と女声に巧みに振り分けるアレンジがとても独創的で、効果的なユニゾン部分もあったりで、聴いていて単純に飽きがこないし楽しい。「原音ソナタ」もかなり「本来の」エンターテイメント色が浮き立つことになったのではないだろうか。