ツネマツマサトシとE.D.P.S(エディプス)
帰りにアメリカ村の「アルケミー・レコード」(実に久しぶり)で、恒松正敏のソロシングル2枚をカップリングした「恒松正敏1981+1987」(WAX・写真)とフリクション脱退後に結成したE.D.P.Sの1st「BLUE SPHINX」を買う。
どちらも高校の頃に買ってなぜか手放してしまっていた思い出深いもの*1。去年突然リリースされたE.D.P.S「LAST LIVE」が相当良かったからでもある。もちろん活動時のライブを観たことなどないが、実はフリクションよりも体質的に好きなバンドで、殆ど引きこもりだった「マイ・ダーク・エイジ」の友だった。ヘヴィーでシャープなダーク・サイケデリアを表出した稀有なバンドだったと思う。「It's Your Kingdom」は名曲だ。まったく惜しいバンドばかりがあっけなく解散してしまうのは今も昔も同じなんだろうな、と。
「恒松正敏1981+1987」の1981年はフリクション在籍時に発表されたもので、当時先端だったインダストリアルな空気が充満しているが、やはりツネマツの痙攣ギターは独特だ。1.「Grinnning In Your Face」は、ツネマツが大のブルースフリークだったのは有名な話なので、デルタブルースのサンハウスの同名曲へのオマージュとも推測できるし、3.「E.D.P.S」はおそらくその後のバンド名の元だろう暗示的で奇妙なトラックで、「フリクション+テレヴィジョン=E.D.P.S」と単純に考えていたらひっくり返される。4.「にがした・はじまり」は、E.D.P.S(実はこのバンドを「エディプス」と読んでいいのかはっきりしたことは知らない。そうとしか読めないとも思うが、このバンド名表記だけでもグレートだ、と暗い少年だった僕は思っていました。)時代のライブでも演奏されている代表的なレパートリーといえる。
逆に1987年のトラックはビートルズの2.「You've Got To Hide Your Love Away」や4.「Nowhere Man」をカバーするなどポップな展開がうかがえる。とはいえ、どの曲もツネマツらしく(カバーの選曲自体もかなり独特だと思う)陰影ある仕上がりが好きだった。