みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

フレッド・フリスの「ステップ・アクロス・ザ・ボーダー」

1980年代後半のフレッド・フリスとその周辺のミュージシャンを扱ったドキュメンタリー映画「ステップ・アクロス・ザ・ボーダー」が数年前にDVDになっている。公開当時は、自分の情報不足のため十分楽しめなかっただけにこれはほんとにありがたかった。今観返しているといまさらながら、「あ、この人イヴァ・ビトヴァ!」とか「これがチャールズ・ヘイワードだったのか」など・・マニアックな楽しみもありつつ、当時からひとつ特に印象に残っていたのが、アート・リンゼイがしきりに自分の現状についてぼやいていた事。この頃はアヴァンギャルドな音楽のマイナーさ加減に相当限界を感じて鬱憤たまっていたようだ。この後のアンビシャス・ラヴァースや現在のブラジル路線が納得できる。アーティストは皆、コブシをふりあげて力むようなところがなく、きわめて普通にしなやかに自由な音楽があふれてくるように見え、映画自体としても開放的な余韻がのこる良作だと思う。
しかし、やはり気になるのは、この作品から10年以上経過しても、こういった良質なテンションをもった映画こういう自由な音楽をやる人たちの映像記録がとても少ない事だが、2003年頃入手した映像作品では、鈴木昭男の「もがり」というVTRが、この場にいたかったと強く思わせてくれる内容で最高だった。