みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

現代音楽

土笛のトポスが旅をする:鈴木昭男『SOUND REPORT』@心斎橋 nu things JAJOUKA

今回の鈴木昭男さんのイベントはライブパフォーマンスだけではなかった。 京丹後から日本海に沿って下関までの山陰の地域には、共通の特徴を備えた「土笛」が出土している地域で、この日本海沿岸にそった1000kmの道程を、「土笛」の出土した遺跡を経巡…

告知関連:鈴木昭男『SOUND REPORT』ほか

7月4日に心斎橋で、鈴木昭男『SOUND REPORT』があります。僕はすでに予約いれておきましたが、以下のイベントを紹介させていただきます。定員もあるので興味あるかたはお早めに是非。 鈴木昭男 『SOUND REPORT』 2010年7月4日(日)開場6:30 開演7:00 前売…

大本雅彦『星の舞台から見てる』を読み始める。David Tudor『Bandneon!』

「人類は、今だって、麺類。」という、かつての安藤百福さんの言葉をリニューアルした日清食品のCMが、小売・店舗に限らず麺商品全体の売上を底上げしている。オアシスの「Don't Look Back in Anger」をバックに、若きハリソン・フォードが、今度は刑事に…

新緑、ゲゲゲとリヒトにアペル

『ちゅらさん』のあと、まったく朝ドラを見なくなったのは、たんに自分の勤め先が変って家を出る時間が早くなったというだけではなく単純に興味がわかなかったからですが、今季の『ゲゲゲの女房』は、よくぞ企画したNHK、という気がしていて録画しても全…

梅田哲也のCD+DVD『○(しろたま)』

ずっとFBI(Festiva Beyond Innosence)などの即興演奏のシーンにも軸足を置いて活動してきた梅田哲也からしてみれば、ギャラリーで演奏することこそあれ、そもそも現代美術の延長線上にいることなどまったく関心がないのだろうし、梅田哲也が作りだす音…

目患いと桜:Zeitkratzerの現代音楽2枚、ステファン・ナドー『アンチ・オイディプスの使用マニュアル』、リチャード・ブローティガンの未発表作品集

並木の桜も散り始めています。来週には終ってしまいそう。でも、この1週間、朝の通勤時には贅沢な気分を味わえた。 今日は、瀧道には行かず、朝から眼科に行って患っている結膜炎の薬をもらってきました。 クリニックを出たあと、パンを買うために普段は通…

この金色は保存できません。

そんなメッセージが出てシステムの利用ができなくなったという問い合わせが入ったのでベンダーに調査を依頼すると、どうも変換される画像に含まれる金色の中から引き去られる緑色成分の値が問題らしく、存在しない色彩という認識になるので件のメッセージが…

トモコ・ソヴァージュ『ombrophilia』

2と7トラック目の「Raindrop Exercise」が、ほんとうの雨のしずくを使っているのかはわからないけれど、水滴が奏でるトーンの連なりは、コンポジションやインプロヴィゼーションという程度の差こそあれ「意図」の範疇から抜け出ていて、雨漏りの時間がゆっ…

ゲラシム・ルカの音声詩『情熱的に』とヴィトゲンシュタインの『色彩について』

昨日、水声社の『ゲラシム・ルカ』の抜き書きをさせていただいたら、小笠原鳥類さんからメールを頂いて、大学時代の恩師にあたられるのが著者の鈴木雅雄氏であることを教えていただきました。 講義の折にもゲラシム・ルカの話が多く、なかでもルカの吃音の音…

土曜の夜は、もう、日曜の朝

昨日の夜、朝青龍の引退会見をやっとYouTubeで見ていて、無念さが伝わってきて、こちらも悔しい思いが湧いてくるのを抑えられませんでした。 はじめは朝青龍に嫌悪感を持っていたような憶えがありますが、こうなってみると、むしろここ数年の自分は、横綱・…

蝶番に接木する2:シシリー島のフォークミュージック

昨夜にひきつづいて、今夜の月もまんまるでひときわ明るい。世界のすべてを書きとめたと思った男がふと顔をあげて、 あの月のことを忘れていたと驚愕する、 というボルヘスの短い話を思い出す。月を見ながら感じる酔いは、アルコールのそれとは違って澄みき…

じわりとしたなにか:Philip Corner『Piano Work』、テンプル・グランディン『動物感覚』、村上たかし『星守る犬』

金曜の仕事帰りに、梅田の書店で目当ての文庫本を買ったのに、そのまま帰るのが惜しくてうろうろしていると、社会学の特集棚が設けてあるなかに、テンプル・グランディンの『動物感覚』という本が置いてあるのを見つけて、手にとってしまった。 なんで社会学…

2009年の「みみのまばたき」

紅白でスーザン・ボイルのあとに上地雄輔がシマシマの頭と黄色い衣装で歌う(この曲は良い曲、と素直に思う)その後ろで観客が手に持つひまわりの群生が揺れているのを観ていると、来年の干支の虎とひまわりが色彩的精神的親戚に思えてきた(いや、思いたい…

詩の雑誌「TOLTA」4号とチルドレン・クーデター@京都アバンギルドとFemale Vocalディスク3枚

先週からのこと、そして、今日のことです。小笠原鳥類さんに、ご自身のインタビューが掲載されました、ということをメールで教えてもらった、詩の雑誌「TOLTA」4号を、北海道の古本屋さんに注文していたのが、先週届いて、とても嬉しく読んでいました…

やっと、紅葉。旧グッゲンハイム邸で「ミン・シャオフェン / 田中悠美子 / カール・ストーン TRIO」

3連休では空振りだった箕面の紅葉も、今朝瀧道を登ってみると、じゅうぶんに深まっていました。 先週出勤時に駅から、お山を見上げる度に色彩が豊かになるようで、早くあそこまで登ってみたいなあと思っていました。 3連休には随分と行楽客が来ていたのだけ…

紅葉待ちにお猿、かえる目に倉地久美夫の土曜日と、ジョン・ケージの日曜日

この週末はひじょうに充実しておりました。昨日は、夜遅かったのですが、平日通りに6時起床。 もしかして紅葉で人がいっぱいになり始めているのかもしれない瀧道を満喫するため。 モミジではないですが、最近家の前の桜並木にはいい感じに染まった落葉がた…

あんぷとみんぱくととーてむ。

IEを8にしてから、未だに「お気に入り」と「クイック・タブ」を押し間違える、みみのまばたきです。 ** 昨日はVOXのアンプを買いに梅田へ。 「DA5」というとてもコンパクトなサイズのデジタル・アンプです。 ギターなど持っていないにも関わらずア…

「ある風景の中でin a landscape」presents 鈴木昭男『耳の道場』@京都芸術センター

明倫小学校をスクワットしたような京都芸術センターで開催されているサウンド・アートの展覧会「ある風景の中で in a landscape」を観てきました(タイトルはやっぱりJ.ケージの、あの曲でしょうか)。 目玉は、予約をしておいた関連イベント:鈴木昭男のパ…

音楽にひたる

シルヴァーウィーク最終日は、家でひたすら享楽的に読書しながら音楽ばかり聴いていました。 なんだろう。酷暑が去って、部屋で音楽をまったり聴いているのがとても馴染むようになってきた。 ありがたい。 テレビでは鳩山首相が25%をぶちあげて、巨人がリ…

新しいダンスを:マース・カニングハム逝去

ピナ・バウシュに続いて、マース・カニングハムまでもが旅立ってしまった。 http://www.merce.org/ しかし、90歳で今年新作まで発表していたということだし、ジョン・ケージのように、直前に強盗に襲われたりといった痛ましい情報は、とりあえずWEB上では…

B面的思考とは、焼酎の爽健美茶割りである。京都へ、砂の書へ。

B面的思考とは、マイナーな思考の謂いだと、わけもわからず何かに対して全面降伏する必要は、じつは無い。 当然、日の当たるA面の存在を前提にしている。とはいえ、B面を聴いているとき陽が射していないわけでは、毛頭ない。 B面の陽光は、A面の日差し…

ピナ・バウシュ  /  コンサート情報

このところこのブログは訃報ばかりが続きますが…舞踏家ピナ・バウシュもまた逝ってしまった。 http://www.pina-bausch.de/news.htmhttp://www.guardian.co.uk/stage/2009/jun/30/pina-bausch-dies-dancer 68歳だった。ヴィム・ヴェンダースと3−D映画の準…

読みつけている本・聴きつけているCD(ピーター・ガーランドとソニック・ユース)

『本の雑誌』でのレビューがおもしろそうで、購入。ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)作者: マイケルシェイボン,Michael Chabon,黒原敏行出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/04/25メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 81回この商品を含むブログ (118件) を見…

もちろん豚は悪くない。『ジョン・ケージ著作選』、HAPI Drumが届く。

とりあえず。書いておかねばならないだろう(もちろん、民主党のことではない)。 今朝は雨が止んでいたので、隙をついて、瀧道行脚。じわりと汗をかいて、京都へ行って、カレーを食べて帰ってきたが、電車の中で妙にマスクの人が多いのが気になっていたら、…

音楽は、不自由を自由にたのしむ:「マウリシオ・カーゲル〜無国籍料理〜」@梅田・ザ・フェニックス・ホール

陽は暖かくて、風は涼しい過ごしやすい日だった。今日は梅田のフェニックス・ホールまで、現代音楽の興味深い企画を続けている「ネクスト・マッシュルーム・プロモーション」によるマウリシオ・カーゲル作品のコンサートにいってきました。 二部構成で、一部…

4つ目の停止原基のための土曜日 あるいは、自分のエンドルフィンくらい

全体的に「もすっ」(「ねむみ」に不快感を乗算したもの)とした朝であったので、コーヒーを飲んでみてもそれは晴れなかったので、もすもすと瀧道へと出かけた。昨夜みたテレビでは、苦いコーヒーを何故年をとるとおいしく感じるのか、という問題が、漫才コ…

あけましておみでとうございます:フィネガンの目覚めの中の木の子供&ケージの『49のワルツ(5つの独立区のための)』

今年も拙ブログを、どうぞよろしくお願いいたします。「めでたい」とは「目出度い」と書くようでうすが、ここは「みみのまばたき」らしく、「耳出度い」と書いてみます。・・・ひかないでくださいね、新年早々。そういえば、昨年まとめ聴きしたAtomicの2006…

アンビエントって盛り上がっているか?

とても久し振りにスタジオボイスを買ってしまいました。STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2008年 08月号 [雑誌]出版社/メーカー: INFASパブリケーションズ発売日: 2008/07/05メディア: 雑誌購入: 5人 クリック: 42回この商品を含むブログ (18件) を見るアン…

声から音楽へ/そして音楽は声へ:メレディス・モンク『impermanence』

嵐のような一週間でしたが、最後の本日、本社の開発会議に出席。カオスな職場を置き去りにする私に、同僚たちの目が「どよ〜ん」として怖い。あんまり忙しすぎたり、込めたい感情が過負荷になると、人の目は逆に「どよ〜ん」とするのだ。自分も自覚があるの…

クジラとこどもと、なにを歌おう。:二つの「音・作品」Bill Fontana 『Australian Sound Sculpture』とDavid Dunn 『Why Do Whales and Children Sing?』

午前中に瀧道を歩くと、谷間の緑が色濃くて、気持ちがいい。谷の中程に道はあるので、谷側は上も下も緑で埋まっている。上の方は葉を繁らせた樹木の空間で、下の方は羊歯類の群生が一斉に葉を谷の上空に向けて手をかざすように向けている。そんな緑のグラデ…